メッセージの返信は即レスが基本!? 「恋の駆け引きは必要ない」と考えるZ世代の恋愛観とは
「5人に1人がマッチングアプリで結婚」(※1)と発表されるなど、恋愛の仕方も時代の流れによって大きく変わってきました。そんな変化を生み出してるのが、「Z(ゼット)世代」(18~25歳)と呼ばれる若者たちです。この世代は小さい頃からデジタル機器に触れ、青春時代をコロナ禍で過ごしてきました。今回は、そんなZ世代を中心に多くの支持を集めるマッチングアプリ『Tinder』を運営し、Tinder Japanのカントリーマネージャーを務めるチョウ・キョさんに、その特徴や恋愛の傾向を聞いてみました。
「白馬の王子様は夢見ない」現実的なZ世代の恋愛観
Z世代の特徴について、「Z世代は、自分らしさを重要視しています。恋愛や結婚に重きをおくというよりかは、誰かと一緒にいることは自分のライフスタイルを豊かにさせることだと考えています」と話す、チョウ・キョさん。
Z世代は「恋愛自体がゴールではなく、恋愛の優先順位は高くない」と考える傾向があるようです。そして、恋愛をすることによる自分へのメリットを大切にする傾向は日本だけでなく、全世界のZ世代にも共通しているといいます。
そんなZ世代の恋愛観は非常に現実的です。現在30~40代のミレニアル世代であれば、恋愛のバイブルはドラマや映画でした。胸キュンシーンに憧れ、ロマンチックな恋の真似事をした人も多いでしょう。しかし、時代の変化によってその価値観も大きく変わったようです。
「Z世代が見てきたコンテンツは、恋愛リアリティーショーやYouTube、TikTokなどのSNS。好きだったカップルYouTuberが別れるなど、恋愛による面倒くささも見ています。だからこそ、Z世代はロマンチックで憧れる恋や王子様を夢見ておらず、恋愛に対して現実的です」
小さい頃から、当たり前にスマホやタブレットを使ってきたZ世代。「幸せにしてくれる白馬の王子様と結婚したい」というような恋愛観は薄れ、恋愛や結婚をしたからといって幸せになれるわけではないことも知っているのです。そんな恋愛観の変化は、コロナにも大きな影響を受けました。
「Z世代は、高校生活や大学生活をコロナ禍で過ごしています。一人で過ごす時間が長く、新しい出会いも少ない… そんな学生時代を経験したことで、恋愛に対する意味や自分の心と身体の健康”デーティングウェルネス”についても考えるようになったのではないでしょうか。実際にZ世代の中で、“セルフケア”への関心や重要性も高まってきており、2023年日本ではTinderのプロフィールで「セルフケア」という言葉が23.3%も増加しています(※2)」
また、このような価値観の変化は結婚願望にも表れています。Tinderが発表した「A NEW STANDARD for DATING」のレポート内における調査では、「結婚に対して必ずしも必要ではない」と考えている人が20代女性で57.1%、20代男性で49.3%という結果がありました(※3)。必ず結婚すべきという意識は薄れつつあり、恋愛は人生を豊かにすると思う手段の1つと考えている人が多くなっています。
「Z世代にとって、『パートナー=結婚』ではないんです。結婚の時期を焦らないし、別に結婚をしなくてもいい。LGBTQ+の考えも浸透し、結婚にとらわれない多様な価値観が広がっています」
返信は即レスが基本!? ミレニアル世代との恋愛の仕方の違い
現実的な恋愛観を持つZ世代ですが、恋愛の仕方にもミレニアル世代との違いがあります。
「代表的な違いは、メッセージの返信スピードです。『返信はちょっと寝かせる』という駆け引きをしてきたミレニアル世代に対し、Z世代は即レスが基本。駆け引きは意味がないと思っている人が多いようです」
実際に「Tinder」で実施したアンケートによると、ユーザーの77%が30分以内、40%が5分以内、さらに即レスをすると答えた人が3分の1以上を占めました(※4)。ミレニアル世代の鉄板であった駆け引きは、Z世代にとっては逆効果になりかねないようです。
では、なぜ駆け引きは必要ないと思うのでしょうか。「Z世代は小学生の頃からSNSを使っていて、その頃の友達と大人になっても繋がっているため、自分を偽る意味がないと思っている人が多いんですね。幼い頃から自己表現をする機会が多く『自分はどんな人なのか』を伝える術は長けていますが、『実際の自分より良く見せよう』とは思わない傾向があります」
また、デートの仕方にも違いがあります。ミレニアル世代にとって、デートといえばアルコールはつきものでした。しかし、学生時代をコロナ禍で過ごしたZ世代では「シラフデート」が定番になっているようです。
「Z世代は、ありのままの自分を知ってもらいたいという思いから、デートでお酒を飲む必要はないと考える人が多いです。一昔前なら何時間もお酒を飲みながら相手を知るのが当たり前でしたが、マッチングアプリなら長い時間かけなくても相手のことを合理的に知ることができます。特に『Tinder』は年収や学歴などのバックグラウンドにフィルターをかけないので、合理的な思考のZ世代とマッチしています」
まさに、恋愛する過程においてもコストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを求めるのがZ世代なのです。
Z世代にモテるには写真が重要! プロフィールの特徴とは
マッチングアプリでモテるためには、プロフィール写真が欠かせません。特にZ世代にとって、写真は合理的に情報を収集する情報源となるそうです。
「文章よりも、写真の方が情報量が多いんです。1枚目は自分の趣味、2枚目は盛れた写真、3枚目はペットなど、その人らしさが出るから、フィーリングで合う・合わないが判断できるのでしょう」
Z世代は恋愛においても「自分らしさ」を重視します。そのため、プロフィール写真もカメラを意識していないような自然体な写真の方が好印象とのこと。
「普段の姿はこんな感じなんだろうなと想像できたり、写真をきっかけに会話が生まれたり… それがZ世代にとって自然な流れです。例えば、一人だけ切り取った写真よりも、友達との写真の方が人柄が想像できます。また、料理の写真よりもペットや趣味の写真の方が会話に繋がりますよね。ただし、趣味といっても、女子ウケの悪い釣りやゲームは考えものです(笑)」
「Tinder」の調査によると、Z世代はマッチングアプリのプロフィールでチェックするポイントをある程度絞っているといいます。その中でも特に重要視しているポイントは、「興味」「ライフスタイル」「出会いの目的」の3つです(※5)。
「特に、『出会いの目的』は合理的に相手を探すZ世代にとって大事な項目です。友達を探しているのか、恋人を探しているのか、目的が違うなら話す必要もないとZ世代は考えるので、きちんと書いておきたいポイントです。よりわかりやすく“利用する目的”をプロフィールに表示するため、2023年には『今、求めるものは…』という新機能をリリースしました」
日本人は一般的に自己紹介が苦手だと言われています。プロフィール本文においても、テンプレートやネットの事例を参考にしている人が多い傾向があります。しかし、チョウ・キョさんは「Z世代は自分らしさを重要視するので、定型文だと『自分らしさ』を感じてもらえません」と話します。たとえ拙い文章でも、「自分はこんな人間です」と伝えるのが、アプリでモテるためには大切なのです。
「より安心・安全な出会いへ」Tinderの今後の取り組み
Z世代を中心に、新たな出会いや恋愛の価値観を生み出す「Tinder」。そんな「Tinder」の今後について、「安心・安全面をしっかりと伝えていきたい」とチョウ・キョさんは話します。
「日本は性教育が浸透していません。大学生へのヒアリングでは、正しい性教育を得る場所がない、インターネットで情報を拾うだけという声もありました。『Tinder』はマッチングアプリのパイオニアとして、『デーティングウェルネス』について情報発信をしていきたいと思っています」
「デーティングウェルネス」とは、互いに正しい知識を持ち、自らの選択によって判断し、心身ともに幸福で健全な状態でいること。嫌なことは嫌だと伝え、相手の気持ちだけでなく自分の気持ちに向き合うことは、安全にマッチングアプリを利用するうえで欠かせません。
また、アプリでのトラブルを相談できる『セーフティーセンター』を設置するなど、安全対策機能の強化にも力を入れています。一方で、94%が「マッチングアプリの安全機能は重要である」と考えているものの、「マッチングアプリの安全機能をすべて認識している」と答えたのはわずか11%(※6)と、マッチングアプリの安心安全機能について、理解が及んでいない層も一定数いることがわかりました。
そのような結果を受け、Tinderは11月14日に安全機能と安全なマッチングのヒントをまとめた日本版の 「Tinder Safe Dating Guide (セーフ デーティング ガイド)」と、デーティングとマッチングアプリの使用を開始する際に参照できるオンラインリソース「SWIPE SCHOOL(スワイプスクール)」のローンチを発表しました。
「若年層が多く集まり、若年層間でコミュニケーションを取るプラットフォームとして、Tinderはただサービスを提供するだけでなく、彼らが安心してオンラインデートを楽しめる環境づくりをする使命があると考えています。今回発表する 『Tinder Safe Dating Guide』と『SWIPE SCHOOL』を通して、1人でも多くの若者が正しい知識を持ち、安心してマッチングアプリを使い、人生の豊かさを広げるような多様な出会いを楽しんで欲しいと思います。」とチョウ・キョさんは話します。
安全面への取り組みだけでなく、新たな出会いの機能として2023年11月に「Tinder Matchmaker」というサービスがリリースされました。これは、「Tinder」ユーザーの友人がキューピットとなり、そのユーザーと相性が良いと思う相手を推薦できる機能です。
「『この人どう? 』『この人あなたに合っているかもよ』と友達にアドバイスをもらうのはこれまでずっと見られた傾向です。今までだったら見落としていた相手と出会える可能性が広がります」
小さい頃からデジタルに親しみ、学生時代をコロナ禍で過ごしたZ世代。恋愛に対する価値観は、現実的で合理的です。じっくりと相手のことを知り、結婚を夢見ていた時代から、時代とともに恋愛の価値観は大きく変化しているようです。
新たな恋愛の価値観を持つZ世代と共に歩んでいく「Tinder」の進化に、これからも目が離せません。
【チョウ・キョ プロフィール】
Tinder Japanカントリーマネージャー。北京第二外国語大学、早稲田大学院、米ジョージ・ワシントン大学卒業後、2011年に日立製作所入社。2012年Web開発の会社を立ち上げ、法人向けコミュ ニケーションツールの開発、販売事業を行う。17年にライブ配信プラットフォームBIGO LIVEの日本法人代表に就任。19年に同社の東アジア・パシフィック地域代表に就任したのち、21年4月にTinder Japanにカントリーマネージャ ー(現職)として入社。東アジア(日本・韓国・台湾)の事業統括を担う。
※参考1 明治安田生命 「いい夫婦の日」に関するアンケート調査を実施
※参考2 2023年日本におけるTinderユーザーのプロフィールから取得したデータ。
※参考3
「A NEW STANDARD for DATING」
※参考4・5 「Future of Dating Report 2023」(Tinder)
※参考6 2022年8月、18歳〜25歳までの日本人1,000人を対象にTinderが実施した調査。
文=よしだゆき
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